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- 副鼻腔炎の手術 -内視鏡下副鼻腔手術-
副鼻腔炎の手術 -内視鏡下副鼻腔手術-
内視鏡下副鼻腔手術 Endoscopic Sinus Surgery: ESS
副鼻腔炎が内服薬、点鼻薬などによる治療で改善しない時、手術治療という選択肢があります
内視鏡下副鼻腔手術とは?
副鼻腔が本来持っている、空気清浄機、加湿器としての機能を手術によって取り戻すことを目的とします。
副鼻腔とは壁に囲まれた小さな「部屋」がいくつも並んでいる構造であり、そのひとつひとつが出入り口を持ち、空気が中を循環していく際に空気清浄と加湿が行われていくものですが、
感染、アレルギーなどを契機に炎症が持続し、副鼻腔の粘膜が腫れたりポリープを形成したりすることによって副鼻腔の出入り口が閉塞してしまいます。
薬による治療や鼻洗浄(鼻うがい)などでも改善しない場合、出入り口が閉鎖してしまった副鼻腔の壁を取り払って中を掃除し、広い空間にします。
「副鼻腔の大掃除とその後のケアをしやすい構造へのリフォーム」と言えます。
手術の実際
鼻の孔から径の細い(4mm)内視鏡と長細い手術器械を入れ、内視鏡画面を見ながら手術を行います。
副鼻腔の近くには脳や眼といった重要な構造が接しているため、高度な内視鏡手術の技術と専用の手術器械を必要とします。
当院では高解像度内視鏡、ナビゲーションシステム(合併症予防のために必要な器械です)、デブリッダー(ポリープを迅速に切除する器械)等を導入して手術をおこなっています。
また、術中の痛みや不安が全く無く、痛みや咳、くしゃみなどで動いてしまうことが無い全身麻酔で手術を行いますので手術中の繊細で精密な操作がより確実に行える環境となっています。
また、基本的にガーゼを詰めることはせず、自然と溶けていくタイプの止血剤やすぐに抜けるタイプのスポンジ状の止血剤などを入れて止血します。
副鼻腔手術自体は1時間から1時間半の手術ですが、鼻中隔弯曲症、肥厚性鼻炎といった鼻閉を改善させる手術も同時に行うことが多いので約2時間近くの手術になります。
合併症を予防するためには、ある程度時間をかけて慎重に手術を行うことが大切です。また他の病院で手術を受けられた後の再発の方の手術は更に慎重な操作を必要としますので、そういった場合には全身麻酔手術のメリットがあると言えます。
手術後、数日間は少量の出血が続きます。また、鼻づまりは一時的にひどくなり、頭痛や発熱がおこることもありますが、内服薬で様子をみていただきます。
術後は数日後、1週間後、と来院していただき、鼻の中にたまった血液や分泌物、かさぶたを清掃して手術の影響でおこっている一時的な鼻づまりを改善させていきます。
そして抗生剤の内服やステロイド点鼻薬をしばらくの間続けていただきます。
手術した副鼻腔の粘膜が落ち着くまでには最低でも3か月程度かかります。それまでは鼻の粘膜は炎症をおこしたり癒着したりしやすい状態ですので家で鼻洗浄(鼻うがい)を続けることが大変重要となります。
手術の効果
手術後、ポリープなどが再発せずに良好に経過する割合は70%程度です。最近増えてきている難治性の副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)の場合、重症度によっては半数以上の方が再発します。
ただし、外来での処置や内服治療、そのほかの追加治療によって再手術を回避できることも多いので、適宜通院し、状態を確認していくことは大切です。
手術後の通院の目安
当院では通常の副鼻腔炎の場合は1年、好酸球性副鼻腔炎の場合は数年以上にわたり様子をみることとしています。
そして何より重要なことはご自身での鼻洗浄などのセルフケアです。
しばらくの間受診されなかった場合は、頭痛や嗅覚障害、鼻づまりの悪化が再受診の目安となります。