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気管支喘息(ぜんそく)と鼻の病気
One Airway One disease (気道はひとつにつながっている~病気もあわせて診ていく必要がある)
鼻・副鼻腔からはじまり気管支まで続く「空気の通り道」はつながっていますので、病気も似たような機序でおこるのではないかと言われています。
通常、鼻やのどといった上のほう(上気道)は耳鼻咽喉科医が、気管支(下気道)は呼吸器内科医が診察しますが、片方の病気の治療だけしていても
なかなか症状がおちつかない、改善しない方は、もう片方の病気が合併していないか、チェックする必要があります。
特に同じアレルギー性疾患であるアレルギー性鼻炎と気管支喘息、好酸球性副鼻腔炎はその病気の原因や発症する機序が似ているので
合併している方は治療も同時にすすめていく必要があります。
アレルギー性鼻炎と喘息の合併
喘息患者さんの70%がアレルギー性鼻炎を持っているといわれています。また、アレルギー性鼻炎の方は約30%が喘息をもっていると言われています。
アレルギー性鼻炎の治療をすることによって、喘息発作で救急外来を受診する回数が減ったという報告もあります。
また、重症喘息の治療薬の一つであるオマリズマブ(抗IgE抗体 ゾレア®)の皮下注射によって季節性アレルギー性鼻炎の症状が改善したという報告もみられ、実際に2020年よりオマリズマブは重症スギ花粉症に対しても使えるようになりました。
このように、アレルギー性鼻炎と喘息は密接につながった病気であり、包括的に診断や治療をしていくことが重要です。
アレルギー性鼻炎の方で、夜から明け方にかけての咳が気になる方は一度呼吸機能の検査をうけることをすすめます。
また、気管支喘息の方で、鼻がつまる、のどに鼻みずが落ちてきて咳になるという症状をお持ちの方は、副鼻腔CTなどで副鼻腔炎の有無、鼻内の検査によりアレルギー性鼻炎の状態を確認して治療にあたるほうが良いと思われます。
気管支喘息に対して吸入ステロイドによる治療をされている方がアレルギー性鼻炎の治療としてクリニックを受診された際には、処方されている吸入ステロイドを「吸ったあと鼻からだしてください」とお話します。吸入ステロイド経鼻呼出法というものです。鼻の中でアレルギー反応による鼻汁を産生したり肥厚して鼻づまりの原因となる「下鼻甲介」の後方は点鼻ステロイド薬が届きづらい場所ですが、吸入薬を鼻から呼出していただくことで下鼻甲介後方へ薬剤を届けることができるようになります。
好酸球性副鼻腔炎と喘息の合併
喘息を持っている方で「においがしない」「鼻の調子があまりよくない」方は一度副鼻腔のCTを撮影するべきと考えます。好酸球性副鼻腔炎という難治性の副鼻腔炎は気管支喘息との合併が重症度のカギとなりますし、喘息の方にとっても副鼻腔炎を合併しているかしていないかをチェックすることはより効果的な治療方法を選択するために大変重要なことです。副鼻腔炎の手術をすることで喘息症状が改善する方、喘息の治療薬である吸入ステロイド薬を「口から吸って鼻から出す」方法で鼻の中のポリープが小さくなって鼻の症状が改善するケースも見られます。
好酸球性副鼻腔炎の典型的な方は鼻の中にポリープが充満していますが、特に若年層などはポリープのみえない好酸球性副鼻腔炎の方も多く(30歳以下の好酸球性副鼻腔炎ではポリープ発見率は約30% (2018年日本耳鼻咽喉科学会、日本アレルギー学会で報告))「耳鼻咽喉科でポリープないからまあ副鼻腔炎ってほどではないですねと診断された」にもかかわらず鼻症状が続く喘息の方は要注意です。
当院で行うAirway Medicine and Surgery
当院は耳鼻咽喉科医が院長を務めますが、顧問に呼吸器内科・アレルギー科の医師(安場広高医師)を迎え、特に喘息合併の好酸球性副鼻腔炎の治療に力を入れています。
喘息の方の好酸球性副鼻腔炎に対しては手術も含めた積極的な治療、その後の喘息の治療を副鼻腔炎の治療に活かしながら
「副鼻腔炎を制御すれば喘息も制御できる」
「喘息を制御すれば副鼻腔炎も制御できる」という考えで治療にあたっています。
治療方法はひとりひとり違ってきますし、決して簡単に治る病気ではありませんが、気になる方は一度受診してご相談ください。