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鼻とアレルギーとにおいのコラム

重症アレルギー性鼻炎の手術:後鼻神経切断術

薬を内服しても症状が改善せず、日常生活に大きな支障が出ている場合

重症アレルギー性鼻炎に対しては、手術治療という選択肢もあります。

 

後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)

鼻の中には下鼻甲介という粘膜のひだがあり、知覚神経と鼻汁分泌を司る自律神経が分布しています。

外界から鼻に入ってきたアレルゲンや刺激物に対して反応し、その情報が中枢(脳)に伝達され、脳から鼻汁を分泌するように自律神経を通して指示がで、下鼻甲介で鼻汁を産生します。また、このような反応の連続の結果、下鼻甲介の粘膜は腫れ、鼻づまりの元となります。また、下鼻甲介に分布する知覚神経からの刺激をもとにくしゃみ中枢が反応してくしゃみもおこります。これらのシステムにはヒスタミンやロイコトリエンといった化学物質が関与しているため、その関与をブロックするのが抗アレルギー薬と呼ばれる内服薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬など)ですが、この内服薬の効果があまり無く、日常生活に大きな支障が出るレベルの重症アレルギー性鼻炎の場合、下鼻甲介に分布する神経のみを選択的に切断する手術治療という方法もあります。

 

下鼻甲介の後ろの方、鼻腔の奥の方に蝶口蓋動脈という血流の良い血管があるのですが、その周囲には下鼻甲介に分布する神経がまとめて走行しています。この神経を切断する手術が後鼻神経切断術(経鼻腔翼突管神経切除術)というものです。

神経を切るといっても、鼻の中の一部(下鼻甲介)へ分布する神経を切断するだけですので神経を切ること自体の副作用はほとんど無いと考えられています。

 

1997年に黄川田医師によって報告された手術方法が徐々に広まり、多くの施設で行われるようになっていますが、動脈の周囲の神経を扱うことから当院では全身麻酔で手術を行うこととしています。

手術自体は片側15分ほどで終了しますが、他の手術(鼻中隔矯正術)などを組み合わせることが多いため、合計で1時間~1時間半程度の手術となります。

 

手術後はしばらく鼻がつまり、少し出血が続きますが徐々におさまってきます。

ただし、稀に(約1%の確率)手術後2週間ほどが経った時に遅発性術後出血というものがおこることがありますので、術後3週間から1か月は結婚式などの重要なイベントや海外旅行等は避けていただくようにすすめています。

 

手術の効果

組み合わせる手術の内容の影響をうけますが、鼻汁の症状が改善したと感じる患者さんの割合は約70%(2015年 日本耳鼻咽喉科学会で報告)です。薬が効かない重症アレルギー性鼻炎の方を対象とした手術ですので一定の効果が期待できるといえます。


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