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鼻とアレルギーとにおいのコラム

副鼻腔炎について

副鼻腔は吸ったり吐いたりする空気が中を循環して加湿されたり清浄されるための小部屋の集まりです。それぞれの「部屋」は空気や鼻汁(鼻みず)の自然の出入り口(自然孔)を持っていますが、この自然孔が細菌やウイルスによる感染、アレルギーの影響などにより粘膜が腫れてつまってしまい、換気が悪くなると副鼻腔内に膿やポリープが充満してくる「副鼻腔炎」と呼ばれる状態になります。



30年ほど前までは上顎洞という頬の奥にある副鼻腔(空洞)に感染性の膿(うみ)が溜まり、黄色い・緑色・におう膿性鼻汁が鼻をかむたび、またはのどにたれこむといった症状を持つ、いわゆる「蓄膿症」(ちくのう・慢性副鼻腔炎)にかかる方が多くおられました。

ただ、20年以上前から徐々に好酸球性副鼻腔炎と呼ばれる、アレルギー体質が影響した副鼻腔炎にかかる方が増えてくるようになりました。

(好酸球性副鼻腔炎についてはこちらをお読みください)

  

慢性副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎に一般的な症状として、鼻汁、鼻閉(鼻づまり)、後鼻漏(鼻がのどにおちる)、顔面痛、頭痛などがあります。 そして、好酸球性副鼻腔炎では嗅覚の障害「においがわからない・わかりづらい」という症状を訴える方が多いです。

 

慢性副鼻腔炎の種類

両側性(好中球性)慢性副鼻腔炎・好酸球性副鼻腔炎

片側性→ 歯性上顎洞炎・(上顎洞・蝶形骨洞)真菌症

CTで片側だけ陰影を認め、数か月以上残存している場合、または顔面痛や頭痛が続く場合には歯性上顎洞炎や真菌症などを考えます。この場合は基本的に手術をすすめます。

副鼻腔には良性腫瘍(副鼻腔内反性乳頭腫)ができることがあり、この腫瘍は稀に癌を合併するものであるため、手術の時に検査を行って、副鼻腔炎であることを確認する必要があるためです。

真菌症の方はカビの塊が副鼻腔の中に溜まっています。この場合も手術をしたほうが良いと考えます。

  

慢性副鼻腔炎の検査と診断

鼻副鼻腔のCT検査、鼻腔ファイバースコープ検査、血液検査などを行います。

好酸球性副鼻腔炎との鑑別のため、喘息症状が隠れていないか、呼吸機能検査、呼気中一酸化窒素(FeNO)濃度測定検査などを用いて確認します。

また、嗅覚障害を合併する方には、基準嗅力検査や静脈性嗅覚検査といった各種嗅覚検査も行います。

 

慢性副鼻腔炎の治療

1980年代より慢性副鼻腔炎(蓄膿症)の治療として、マクロライド系抗生剤(クラリス®、クラリシッド®etc.)を少量ずつ3か月以上の長期にわたり内服する治療方法が日本全国で行われるようになり、60%程度の患者さんに改善を認める有効な治療法として確立されてきました。

一方、世界の鼻副鼻腔炎の治療をリードしているヨーロッパ鼻科学会が出している副鼻腔炎治療ガイドラインでは、まず、ステロイドの点鼻薬と、生理食塩水による鼻洗浄(鼻うがい)を基本として治療を開始します。

鼻茸(ポリープ)が充満している場合は鼻洗浄や点鼻薬だけでは症状が改善しないことが多いため、手術治療を勧めることがあります。

 

手術では、点鼻薬や鼻洗浄だけでは消失しないポリープなどを取り除き、副鼻腔の自然孔を拡大したり、不要な壁を切除したりしていきます。

鼻洗浄や点鼻薬の効果がより奥まで届くように副鼻腔を大掃除してリフォームするというのが手術の一番の目的です。

ただし、手術をしてもその後の治療やセルフケアを行わないとすぐに再発してしまうことがありますので長い期間の治療や経過観察が必要となります。

 

何より重要なセルフケア

再手術などを行わずにすむ治癒率は通常の慢性副鼻腔炎で70%程度、好酸球性副鼻腔炎では60%と言われています。手術後は外来で容易に副鼻腔の奥まで確認することができますので、まずは外来での処置や内服薬や点鼻薬の追加、鼻洗浄の継続などにより様子を見ます。

再発したポリープを切除するために再手術を勧めることもあります。

「においがわかるか」「頭痛がしないか」などの症状を参考に再手術するかどうかは判断していくことになります。



 

そして何より重要なことは患者さんご自身による自宅でのセルフケアです。

41℃前後のお湯に食塩を入れて(0.9~1%の濃度)鼻洗浄(鼻うがい)を毎日しっかり行っていただきます。

点鼻ステロイド薬による治療やマクロライド系抗生剤の内服治療を行うこともあります。

定期的にファイバースコープ検査を行い、副鼻腔の状態をチェックし、また、術後3か月から半年程度のタイミングでCT検査を行い、手術の効果を確認します。

術後、最初の1か月は週に1回程度の通院、その後は1~3か月毎の通院をすすめています。

半年から1年たつと再発しやすいかどうかなどが大体把握できるようになってきますので、私たちのクリニックではまず1年は通院してくださいと説明します。

 

しばらく通院されていない場合などは嗅覚・鼻閉・頭痛などの症状の悪化を目安にして受診をしてください。