任意の記事タイトルが入ります | 鼻とアレルギーとにおいのコラム | 京都駅前耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック

京都駅より徒歩3

当院へのアクセス

menu

鼻とアレルギーとにおいのコラム

手術後に再発した鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対する注射による治療

慢性副鼻腔炎は昔から蓄膿(ちくのう)とも呼ばれていますが、最近は、膿はあまり溜まらずに、鼻茸(ポリープ)が鼻の中にでき、鼻がつまったりにおいがわからなくなったりするタイプの副鼻腔炎にかかる方が増えています。

鼻茸の中に好酸球(白血球の一種)が数多く認められるタイプの副鼻腔炎は好酸球性副鼻腔炎とも呼ばれ、手術をしても再発しやすい難治性の疾患です。

この疾患はアレルギーが関与しているものであり、気管支喘息との合併も多くみられます。


従来、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎に対しては、内視鏡を用いた手術で鼻茸を基部から取り除き、副鼻腔を隅から隅まで清掃する内視鏡下副鼻腔手術が有効で、多くの病院で行われています。

ただし、鼻茸の中に好酸球が多く認められたり、喘息を合併していたりする方は鼻茸が再発しやすく、何度も手術をうけることとなったり、ステロイドを内服しないと再発を抑えきれないこともあったりと、治療に難渋することも多く、実際、重症の好酸球性副鼻腔炎は厚生労働省の指定難病にも認定されている状況です。


手術を行っても鼻茸(ポリープ)が再発して大きくなり、鼻づまりや嗅覚の低下が顕著になってきた場合への新しい治療として、抗IL-4/13抗体 デュピルマブという注射薬を皮下注射する方法が認可されています。

この注射は、一言で言えば「副鼻腔炎を悪化させるアレルギーシステムの回路の一部を止める」注射です。重症アトピー性皮膚炎、難治性喘息の治療薬としてすでに多くの患者さんに注射されている薬です。

注射は2週間おきに6か月ほど行い、ポリープが縮小、消失したら1か月おきにしたり、治療を止めることもできます。(止めた後再発する可能性もあり、治療をいつまで続けるべきかについては個人差が大きくなかなか予想できません)

途中から家で自分で皮下注射ができる(在宅自己注射)ものですので、通院間隔をあけることもできます。

 

この治療は適応となる要件が厳しく、鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎の方のすべてに使用できるものではありません。また高額な注射という問題もあり、鼻の中の状態によっては再手術を行うほうがより有効と考えられることもあります。


鼻茸、慢性副鼻腔炎の手術を受けたことがあるものの、鼻づまりや嗅覚障害、鼻汁などの症状が続いている場合はご相談ください。