手術・治療について

About Surgery and Treatment

鼻の手術について

当院では、鼻づまりの改善手術および副鼻腔炎の手術を行っております。

■ 鼻づまりの手術
鼻づまりの原因に応じて、以下の手術を行います。

・鼻中隔弯曲症に対する
 内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型(骨・軟骨手術)
・鼻中隔前方の強い弯曲に対する
 内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型(前彎矯正術)
・肥厚性鼻炎に対する
 内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型(下鼻甲介手術)

これらの手術は、状態に応じて組み合わせて行うことで、より高い改善効果が期待できます。

■ 鼻汁・アレルギー症状に対する手術
重症のアレルギー性鼻炎や難治性の鼻汁に対しては、経鼻腔的翼突管神経切除術を行っております。鼻の分泌に関わる神経(翼突管神経)を遮断することで、鼻水やくしゃみなどの症状を軽減することが期待されます。

■ 副鼻腔炎の手術
副鼻腔炎に対しては、内視鏡下副鼻腔手術(ESS:Endoscopic Sinus Surgery)を行っております。病変の広がりに応じて、Ⅰ型〜Ⅳ型まで適切な術式を選択し、
内視鏡を用いて病変を直接確認しながら手術を行います。

鼻中隔弯曲症とは

左右にある鼻の穴の奥は、それぞれ「鼻腔」という空間に分かれており、中央には鼻中隔(びちゅうかく)という仕切りがあります。この鼻中隔が、左右どちらか、あるいはS字状に強く曲がった状態を鼻中隔弯曲症(びちゅうかくわんきょくしょう)といいます。(※鼻中隔湾曲症・鼻中隔彎曲症と表記されることもあります)
 

●なぜ起こるのか

鼻は成長とともに大きくなり、それに伴って鼻中隔も縦に伸びます。しかし、周囲の骨がその成長速度に追いつけない場合、鼻中隔が、左右どちらか、あるいはS字状にたわむことがあります。弯曲は10歳頃から徐々に強くなり、女性では13〜15歳頃、男性では15〜18歳頃に目立つようになります。

●症状と影響

鼻中隔の弯曲が強い場合、鼻の通り道を塞いでしまうため、鼻づまり(鼻閉)の原因になります。鼻の骨格のゆがみが原因で起こる鼻づまりなので、薬を飲んでも改善しにくいのが問題です。
また、狭い方の鼻の入口の粘膜に、乾いた空気が直接あたり乾燥して切れてしまい、ここから鼻血が出る原因になることもあります。
さらに、空気の通りの悪さは、副鼻腔炎の原因にもなります。おでこや頬には副鼻腔と呼ばれる空洞があるのですが、この空洞は鼻の通り道を通して、空気の出し入れをしています。鼻の通りが悪くなると、副鼻腔の換気まで悪くなり、バイ菌が繁殖し副鼻腔炎(蓄膿症)になることがあります。

●治療が必要なケース

実は、鼻中隔の弯曲自体は成人の80%程度にみられます。つまり、弯曲があるだけでは必ずしも治療は必要ありません。しかし、鼻閉がつらく、夜寝にくい、ついつい口呼吸になってしまい、仕事、勉強やスポーツに集中できないなど、日常生活に支障がある場合には、治療(手術)の対象となります。

鼻中隔矯正術(内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型、内視鏡下鼻中隔手術Ⅲ型(前彎矯正術))

内視鏡と手術器械を鼻の孔から奥に入れて鼻の中の操作のみで行います。鼻中隔矯正術自体は約30分の手術ですが、他の手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術、後鼻神経切断術、内視鏡下副鼻腔手術)と組み合わせて行うことが多く、手術内容によっては合計で1~2時間程度になります。

●手術方法

① 鼻中隔の骨と軟骨を覆っている粘膜をメスで切開して軟骨が見えるようにします。
② 奥の方で過度に曲がった軟骨や骨(鋤骨・篩骨など)を切りとります。
③ 軟骨のたわみを矯正し、粘膜を元に戻します。
④ 粘膜を切開した場所を糸で縫い合わせます。
⑤ 鼻の孔の中に出血を止める特殊な医療用のスポンジを入れます。

鼻中隔粘膜は血流が多い部位のため、メスで切開した左右のどちらかの側の鼻の入口からの出血が術後数日間あります。また、術後1~2週間は鼻の中の粘膜が腫れるので、鼻づまりは一時的には手術前よりひどくなりますが、この鼻づまりは必ず治まります。しばらくの間の我慢していただくようお願いします。
また、術後1か月程度は痂皮(かさぶた)が鼻の中に作られます。いわゆる大きな「鼻くそ」ができるのですが、これは鼻うがい(鼻洗浄)をしっかりと行っていただくことで取れやすくなりますし、この痂皮がつかなくなった時が、手術の傷が治り、鼻づまりが改善されてすっきりした状態になるということですのでしばらくの間がんばってください。
当院では、全例、吸収糸という抜かなくても自然に溶ける糸を使って、粘膜を縫い合わせておりますので、抜糸の必要はありません。しかし、糸の結び目に痂皮がこびりつくことがあるため、糸を2週間~1か月後に抜糸することもあります。抜糸は外来処置で行う簡単なものです。

下鼻甲介切除術

長年の鼻炎により肥厚してしまった下鼻甲介に対しては、粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術Ⅰ型)という手術があります。下鼻甲介の体積を減らし、薄くすることで、空気の通り道の幅を広くします。
通常、後鼻神経切断術(経鼻腔的翼突管神経切除術)、鼻中隔矯正術などと組み合わせて一度に行うことがほとんどです。
下鼻甲介はとても血流が多い場所ですので、手術後、出血が続いたり、鼻の中の粘膜が腫れて、かえって鼻づまりが強くなったりします。術後1~2週間すると腫れも出血も落ち着いてきて、1か月もすると鼻の通りが良くなったことを実感できます。

副鼻腔炎と手術について

おでこや頬の骨の中には、副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれる空洞があります。この副鼻腔は鼻の通り道とつながっており、空気の出入りが行われています。イメージとしては、副鼻腔が「部屋」、鼻の通り道が「廊下」のような関係です。副鼻腔という部屋は、廊下に面した小さな「窓(出入り口)」を通して換気されています。そのため、鼻の通りが悪くなると、この窓がうまく機能せず、副鼻腔の換気も悪くなります。

●副鼻腔炎が起こる仕組み

感染やアレルギーなどをきっかけに炎症が起こると、副鼻腔の粘膜が腫れたり、ポリープができたりして、窓(出入り口)がふさがってしまいます。すると、副鼻腔の中に空気や分泌物が滞り、細菌が繁殖して副鼻腔炎(蓄膿症)を引き起こします。

●手術の目的

薬による治療や鼻洗浄でも改善しない場合には、手術を検討します。手術では、閉じてしまった副鼻腔の出入り口を広げ、内部をきれいにすることで、本来の換気と排出の機能を回復させます。これは例えると、「換気できなくなった部屋の窓を大きく開け、換気を良くして、たまった汚れを掃除する」「その後も手入れしやすい構造に整えるリフォーム」のような治療です。

●副鼻腔の本来の役割

副鼻腔は、空気の通り道としてだけでなく、空気をきれいにし、湿度を保つ働き(空気清浄・加湿)も担っています。手術は、こうした本来の機能を取り戻すことを目的としています。


 

●手術方法と安全性について

手術は、鼻の孔から細径の内視鏡(約4mm)と専用の細い器械を挿入し、
モニターに映る映像を確認しながら行う内視鏡手術です。副鼻腔の周囲には、脳や眼といった重要な構造が接しているため、高度な技術と精密な器械を用いた慎重な操作が求められます。

当院では、安全性を高めるために以下の機器を導入しています。
・高解像度内視鏡
・ナビゲーションシステム(手術で削っている位置を正確に把握し、合併症を予防)
・デブリッダー(ポリープなどを効率よく切除する器械)

●麻酔と手術環境
副鼻腔炎の手術は全身麻酔で行います。全く意識がない状況で手術を行いますので、術中の痛みや不安がなく、咳やくしゃみなどによる体動もないため、より安全で精密な手術が可能となります。

●手術時間の目安
副鼻腔手術のみ:約1〜1.5時間
鼻中隔弯曲症や肥厚性鼻炎の手術を同時に行う場合:約2時間前後
安全性を最優先に、十分な時間をかけて丁寧に手術を行います。

●術後の経過
術後は、数日間、鼻出血がみられます。鼻の中を怪我しているのと同じなので、一時的に鼻づまりが強くなり、頭痛や発熱を伴う場合もあります。

●手術の効果

手術後、ポリープなどが再発せずに良好に経過する割合は70%程度です。最近増えてきている難治性の副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)の場合、重症度によっては半数以上の方が再発します。 ただし、外来での処置や内服治療、そのほかの追加治療によって再手術を回避できることも多いので、適宜通院し、状態を確認していくことは大切です。

手術の流れ

木・土曜日に全身麻酔にて手術を行っています。また、月・火・水・金曜日に局所麻酔手術を行っています。

1. 予約

まず、病状の診断、手術適応の有無を診断いたしますので、診察の予約をお取りください。月・水・金曜日の午後4時〜7時に手術相談専用の予約枠を設けています。

2. 手術までの流れ

■ 受付・問診
受付や問診票の記入時に、手術をご希望されている旨をお伝えいただくと、診察がスムーズに進みます。

■ 診察・検査
診察では、副鼻腔CT検査、ファイバースコープ検査、嗅覚検査などを行い、現在の状態を詳しくご説明いたします。

また、現在治療中のご病気、これまでにかかったことのあるご病気などについてお尋ねします。必要に応じ、通院中の病院に問い合わせし、手術可能かどうか総合的に判断いたします。

■ 治療方針の決定
検査結果をもとに、内服薬や点鼻薬による治療を継続するか、手術を行うかなど、今後の治療方針について、十分にご相談のうえ決定します。

■ 手術日程の調整
手術を行う場合には、手術日および術前検査(血液検査・胸部レントゲン・心電図など)の日程を調整します。

3. 術前検査・手術前説明について

■ 術前検査
手術の約1か月前に、術前検査をお受けいただきます。
主な検査内容は以下の通りです。
心電図
胸部レントゲン
呼吸機能検査
血液検査
鼻腔通気度検査 など

■ 手術前説明(インフォームド・コンセント)
術前検査の結果を踏まえ、手術担当医師より、手術の内容、想定されるリスク、術後の経過について、詳しくご説明いたします。ご不明な点についても詳しくお答えします。ご家族にご同席いただくこともお勧めしております。

■ 所要時間の目安
医師からの説明は約15〜30分程度ですが、前後に行う、術前検査・看護師からの説明も含め、全体で1時間〜1時間半程度かかります。

4. 手術までの間

できるだけ早期からの禁煙をお願いします。 低用量ピル、抗凝固薬、抗血栓薬、サプリメントなど手術1か月前から中止する必要があるものがあります(薬によって中止期間は異なります) 鼻洗浄(鼻うがい)を始めておいてください。

5. 手術前日

禁酒をしてください。(手術前日から術後2週間) 午後11時(23時)以降は絶食です。 以後水分補給は 水・お茶・ポカリスエット・アクエリアスのみ可です。(×コーヒー、×スープ、×牛乳・乳製品、×ジュース、×アミノ酸系ドリンク)

6. 手術当日

10時に来院される方は朝8時から、1時に来院される方は朝11時から、水分摂取も不可となります。手術着に着替え、アクセサリー、義歯、コンタクトは外して手術室に入室していただきます。また、化粧やマニキュアは前もって拭き取っておいてください。入室時に、医師がご本人確認、手術内容の再確認を行います。

7. 手術中

手術は内容によりますが1~3時間かかります。手術前後には、麻酔をかける時間、醒ます時間がありますのでプラス30分~1時間かかります。麻酔から醒めるまで、別室(リカバリー室)でしばらくお休みいただきます。

8. 手術後

■ 手術当日(術後の過ごし方)
手術後はリカバリー室で1〜2時間程度お休みいただき、十分に麻酔から醒めていることを確認したうえでご帰宅いただきます。

■ ご帰宅・付き添いについて
※全身麻酔の場合
日本麻酔科学会の指針に基づき、付き添いの方とご帰宅いただきます。当日はご家族などと一緒にお過ごしください。付き添いの手配が難しい場合は、事前にご相談ください。近隣の協力病院での1泊入院をご案内することが可能です。

※局所麻酔の場合
お一人でのご帰宅が可能です。付き添いは必須ではありません。

■ 飲食について
術後約2時間後から水分摂取が可能となり、その後、少量からお食事を再開していただけます。当日は、胃腸に負担の少ない消化の良い食事をおすすめします。

■ 入浴について
手術当日の夜は、入浴はお控えください。術後1週間ほどは過度に血行がよくなるのを避けるため、シャワーにしていただくようお伝えしております。

■ 術後の経過について
鼻の手術をお受けになると、鼻の中に傷を負った状態になりますので、術後数日間は、少量の出血がみられ、鼻づまりが強くなります。頭痛や発熱を伴う場合もありますが、多くの場合、内服薬でコントロール可能です。

9. 手術翌日もしくは数日後

来院していただき、鼻の中に入っている止血剤を取り除いていきます。 鼻洗浄(鼻うがい)を再開していただきます。 シャワーは翌日から可能です。入浴は術後1週間避けてください。

10. 術後の通院について

術後は、1〜2週間ごとにご来院いただき、傷の治り具合を確認していきます。また、鼻うがいでは取りきれない痂皮(かさぶた)を診察時に除去することで、鼻づまりの改善につながり、呼吸が楽になります。ご自宅での鼻洗浄(鼻うがい)も重要な治療の一部ですので、継続して行ってください。

11. 手術3か月後

CT検査、鼻腔通気度検査などで手術の効果を確認します。

12. 術後の日常生活について

■鼻のかみ方について
 術後1〜2週間程度は、強く鼻をかむことはお控えください。
 鼻息だけで軽く鼻をかむ程度であれば問題ありませんが、圧を強くかける動作は避けてください。

■運動について
 術後1〜2週間程度は、ランニング、ダッシュ、筋トレなど息が上がるような激しい運動はお控えください。日常生活での動作や軽い運動は問題ありません。

■飲酒について
 血行が良くなることで出血の原因となるため、術後1〜2週間程度はお控えください。

日帰り手術の特徴

当院では火曜日、木曜日、土曜日に日帰り、全身麻酔にて手術を行っています。また、局所麻酔手術を月曜日に行っています。

痛みや恐怖を
感じることなく
手術が完了

術後、
短時間のうちに
日常生活が可能

早期に
仕事や学校に
復帰が可能

 

●日帰り手術のメリット

  • 手術当日に帰宅できるため、社会復帰が早い。
  • 入院費用が発生しないため、経済的負担が少ない。

●手術当日の帰宅が可能になる基準

■ ご帰宅方法について
手術後のご帰宅については、安心してお過ごしいただくため、あらかじめ目安をご案内しています。

■ 全身麻酔の場合
日本麻酔科学会の指針に基づき、下記の内容をお願いしております。
・帰宅時から翌朝まで、ご家族などの付き添いが可能であること
・麻酔の影響が残る可能性があるため、当日はご自身での車の運転はできません。
 付き添いの方の運転、またはタクシーをご利用ください
・当院からご自宅までの移動時間が、おおよそ1時間以内であること

ご自宅が遠方の場合は、近隣の宿泊施設のご利用をご検討ください。その際も、付き添いの方と一緒にお過ごしください。

■ 局所麻酔の場合
当院では局所麻酔での手術中に鎮静剤を使用するため、術中は眠ったような状態で手術を行います。術後は覚醒し、歩行可能となりますが、鎮静剤の影響が残る可能性があるため、
当日はご自身での車の運転はできません。お一人でのご帰宅は可能ですが、付き添いの方の運転、またはタクシーのご利用をおすすめしています。)ください。安全確保のため、翌朝まで患者さんがお一人になることのないよう、ご協力をお願いしております。

麻酔方法について

当院では、局所麻酔および全身麻酔による手術を行っております。手術の内容や状態に応じて、適した麻酔方法をご提案いたします。また、ご希望がある場合はご相談ください。

手術日について

局所麻酔手術:月・火・水・金曜日
全身麻酔手術:木・土曜日
※いずれの手術も日帰りで行っています。

手術実績について

当院では2014年より全身麻酔・日帰りでの鼻副鼻腔の内視鏡手術を開始しましたが、2026年2月現在、約2100名の方に約6000件の手術を行ってまいりました。

内訳:

期間2014年2015年2016年2017年2018年2019年2020年2021年2022年2023年2024年2025年2026年
手術症例数(名)1144 799013112312615516623445938786
内視鏡下副鼻腔手術(件)1128322426286159629723728656
経鼻腔翼突管神経切除術(件)01895156222210181238255298649466112
内視鏡下鼻中隔手術(鼻中隔矯正術)(件)43074749892801089811027021542
内視鏡下鼻腔手術
(粘膜下下鼻甲介骨切除術)(件)
94924515183738606921824850
その他(件)0000100000210

(通常、複数の術式を同時に施行しています)

副鼻腔手術のうち、難治性の副鼻腔炎である好酸球性副鼻腔炎に対する手術は副鼻腔炎の手術の約半数を占めています。
現在、火曜日、木曜日、土曜日に、麻酔科医師による管理のもと、全身麻酔にて手術を行っています。また、月曜日に局所麻酔での手術も行っています。

全ての方が日帰りで帰宅されていますが、付きそいの方がいらっしゃらないなどの場合は当院で手術をうけられた後、康生会武田病院(当院より車で2分)に移動していただき、開放型病床制度により1泊入院していただいています。

(手術実績は随時更新いたします)