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- みみ・はな・のど 症状・病名別ガイド
みみ・はな・のどの症状別に考えられる病気の
候補をあげて説明します。
外耳炎
耳の穴から鼓膜までの間にある外耳道は内側が皮膚でおおわれています。外耳道の中は湿度が高く、炎症をおこしやすい場所です。実は耳掃除のしすぎで外耳道の皮膚をひっかきすぎて炎症をおこす方が最も多いです。
痛み、かゆみ、ひどくなると腫れて耳がつまったりしてきます。耳だれがでてくることもあります。耳の中を清掃し、抗生剤やステロイドの点耳薬、内服薬などを処方します。毎日耳掃除をする方は外耳炎を繰り返しやすいです。また、初夏から夏は外耳炎をおこしやすい季節といえます。
耳垢
耳垢(じこう・みみあか)は本来「しゃべる、噛む」といった口や顎を動かしている間に自然と外側に移動していき、排出されていきますので耳掃除を何年もしていないからといって何年分もの耳垢が溜まっているわけではありません。ただ、外耳道の皮膚が弱く耳垢の排出がうまくいかないと耳垢が奥にたまった状態(耳垢栓塞)になります。耳掃除をしすぎて外耳道の皮膚をひっかいて炎症をおこしても耳垢はたまりやすくなりますし、出てこようとした耳垢を奥に押し込むこともあります。
耳垢で外耳道が完全に閉塞してしまうと急に聴こえが悪くなることもあります。顕微鏡や攝子(ピンセット)や吸引管を使って耳垢を除去します。硬くなると取れなくなりますのでその場合は耳垢水という耳垢をやわらかくする点耳薬をしばらく耳に入れて柔らかくしてから取り出すこともあります。
耳内異物
外耳道の中に異物があると、音がしたり、痛くなったりします。
多いものは髪の毛で、散髪の後に気付いたりすることがあります。その他、耳掃除をしていて綿棒の先がとれて中に入ってしまう、ビーズなどの小さなおもちゃ、小さな虫が入ることもあります。
プールや入浴中に外耳道に入った水が鼓膜の手前の窪みにたまることもあります。
顕微鏡で確認して摘出します(耳内異物摘出術)。麻酔は不要のことが多いですが、痛みが強いときは麻酔をしてから行うこともあります。
中耳炎
急性中耳炎
お子様の鼻水がふえたなと思っているうちに耳が痛いと言い出したら、急性中耳炎を疑います。
鼓膜の奥の中耳(鼓室)の中の粘膜が腫れたり膿がたまったりした状態です。
耳管という鼻と耳をつないで耳の気圧調整をしている場所が子供のうちは太く短く角度が無いため成人より頻繁に中耳炎になりやすく、なりやすさにも個人差や環境の差があります。
最初の痛みは数時間で一旦おさまることが多く、その後耳がつまる、聴こえづらい状態が1~2週間続き、徐々に改善していきます。途中で耳だれがでてくることもありますが、鼓膜の奥にたまった膿を自力で排出できたとも言えますので、まずは慌てず、耳鼻咽喉科を受診した際に処置をすれば大丈夫なことがほとんどです。
軽症であれば薬は不要で自然改善を待ちますが、重症度や鼻症状に応じて抗生剤などの薬の内服、鼻や耳の処置を行います。
滲出性中耳炎
急性中耳炎の後や耳管狭窄症などがきっかけとなり、中耳(鼓室)の粘膜から滲出液がでてきてたまり、自然に排出されなくなった状態です。「耳の中に水がたまっている」と言われることが多い病気です。
聴こえが悪くなったり耳がつまったりするといった症状が出てきます。顕微鏡や内視鏡での確認や、純音聴力検査、ティンパノメトリーなどの検査を行います。
耳から耳管を通して鼻咽頭への滲出液の排出を促すために去痰剤の一種をしばらく内服したりしているうちに改善すればよいですが、長引く場合には鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を行います。
慢性中耳炎
子供のころからの中耳炎の反復などがきっかけとなり、鼓膜に常に穿孔がある状態を慢性中耳炎と呼びます。
穿孔があると、聴こえが悪くなったり、少しの風邪でも耳だれがでてきたりします。聴力検査、CT検査、内視鏡などで確認します。調子の悪い時に抗生剤の内服や点耳薬で様子をみますが、手術(鼓室形成術・鼓膜形成術)により穿孔を閉じることで聴力が改善することもあります。
真珠腫性中耳炎
鼓膜の一部が陥凹し、中耳(鼓室)の中に入り込み、耳小骨や神経など鼓室の中の大切な器官をまきこんでいく疾患です。鼻炎症状が年中あり長年鼻をよくすすっているうちに、この真珠腫が形成される場合があります。
耳だれ、耳のつまり、難聴、耳から出血することなどもあります。お子様の中には先天性真珠腫といってうまれつき鼓膜成分が鼓室の中に閉じ込められそこで少しずつ大きくなるタイプの真珠腫がみつかることもあります。
真珠腫は悪性のものではなく、進行はゆっくりであり、軽度の場合は鼓室にチューブを留置して陥凹の進行を防いで様子をみることもありますが、進行した場合には手術以外の方法では治すことはできませんので手術をできる施設を紹介します。
難聴
難聴にはいろいろな種類があります。大きく分けると、音を伝える道に問題があっておこる伝音難聴、音を感じる場所に問題があっておこる感音難聴、この二つが混ざった混合性難聴と分けられます。
伝音難聴の代表は中耳炎によるものです。その他、耳小骨奇形や外傷性離断(交通事故で頭をうった後などに生じることがあります)、耳硬化症といった病気も含まれます。感音難聴には突発性難聴、加齢に伴う難聴、騒音性難聴、メニエール病に伴う難聴などがあります。
純音聴力検査、鼓膜の動きをみるティンパノメトリーと呼ばれる検査、大きな音を聞かせたときに中耳の中にあるアブミ骨という耳小骨が反応するかをみるアブミ骨筋反射検査、耳のCT検査などを行い診断していきます。
手術や薬で改善させることができる難聴も中にはあります。
突発性難聴
文字通り突然片耳が聴こえづらくなる病気です。耳鳴り、めまいを伴うことも多いです。治らないと片耳がほとんど聴こえなくなるケースもありますので厄介な病気です。検査の結果、突発性難聴と診断された場合にはできるだけ早期にステロイドを大量に服用したり点滴したりする治療がすすめられます。ただ、実は2週間以内に3割近くの方が自然に改善するとも言われていますので、血液検査などでステロイドを大量に体内に入れても大丈夫かをきちんとチェックしてから治療をスタートすることをすすめます。体への負担を考えて入院での治療をすすめることもあり、その場合は入院ができる病院を紹介いたします。
良性発作性頭位めまい症
「朝ベッドから起き上がった時にぐるぐると目がまわった、びっくりして横になっていたら1、2分でおさまったがまた起き上がったらめまいがした」「耳鳴り、難聴は気にならない」「日中はおちついてきたのにまた次の日の朝同じことがおきた」といった症状で来られた際には真っ先にこの病気を疑います。耳が原因のめまいの中で最も頻度の多い疾患です。
内耳と呼ばれる聴こえの神経やバランスを司る神経が集まっている部位の中に存在する「耳石」という極小の砂のようなものが本来の位置からはがれて浮遊し、半規管という頭の回転加速度(頭をブンと振る勢い)を感知するセンサーの周囲にまぎれこみ、頭を勢いよく動かした時にそのセンサーを刺激してしまうものです。
普通の生活を送っているうちに徐々におさまってきますが、数週間ふわふわした感覚が残ることもあります。
赤外線カメラを用いた平衡機能検査(眼振検査)により左右どちらの半規管にまぎれこんだか判明した場合にはめまい体操などで改善することもあります。年に1~数回疲れがたまった時などに再発することもある病気です。
顔面神経麻痺
顔の片方が突然動かなくなる、口から水がもれる、目が閉じなくなった、という症状は顔面神経麻痺の可能性が高いです。顔面神経は脳から耳の中を通って耳の下から顔の表面にでてきて表情をつくる筋肉の動きを司る神経です。このため耳に関連した検査が多く、耳鼻咽喉科医がかかわることが多い病気です。気がついたらできるだけ早く受診されることをすすめます(夜間救急に駆け込む必要まではありません)。
原因不明のベル麻痺(約60%)と、小児期に感染した水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化しておこるハント症候群(15%。耳鳴・難聴・めまいなども合併します)が多いです。ただ、中枢性顔面神経麻痺という脳の中が原因となるものも中にはあります。
顔の動きをチェックし、純音聴力検査で難聴の合併が無いかの鑑別をし、アブミ骨筋反射検査にて顔面神経のどのあたりが障害されているかを推測したり予後を予測したりします。また、側頭骨CT検査にて顔面神経の近くに何か異常が無いかを調べることも重要です。
鼻炎
鼻炎は鼻の中の様々な場所の炎症を一括りにした病名です。鼻かぜなどで一時的に鼻水がでてくる急性鼻炎、様々な原因で鼻の中にある下鼻甲介と呼ばれる部位が肥厚して鼻づまりの原因となる肥厚性鼻炎、鼻づまりを取る目的で市販の点鼻薬を使っているうちに使わないと鼻がつまるようになってしまう薬剤性鼻炎、他に血管運動性鼻炎、好酸球性鼻炎、などがあります。
鼻うがい、ステロイド点鼻薬などで鼻の粘膜の状態をできるだけおちつかせることが重要です。
鼻出血
鼻をかんだらティッシュに血がついていたという程度の出血から、服やタオルが真っ赤になるほどの出血まで様々です。鼻の入口から約1センチのところにキーゼルバッハと呼ばれる、鼻の中の血管が集まっている部位があります。その部分をこすったり、いじったり、強く鼻をかみすぎたりすることがきっかけとなって血管が切れてしまうと鼻血となります。
また、年齢の高い方で高血圧の持病をお持ちの方が早朝に大量出血をおこすことがあります。この場合は鼻の奥の方にある「蝶口蓋動脈」の周囲からの出血を疑い、救急病院や総合病院での止血が必要となることもあります。
出血は少量であれば綿花などを鼻の入口に少しあてて鼻の付け根ではなく入口を15分から30分しっかりおさえる(「洗濯ばさみで鼻をつまむ場所をおさえる」とイメージしてください)と多くの鼻血は自然にとまります。ひどい時には耳鼻咽喉科で出血している箇所をバイポーラなどの器械をつかって焼灼したりして治療します。
出血した痕にはその後痂皮(かさぶた)がつきますが、鼻がむずがゆくなったりしますのでその痂皮を夜間などに無意識のうちにいじって取ってしまうと、また出血するといったことも多いです。また、「血をサラサラにする薬」(抗血栓薬)を内服されている方の鼻出血は焼灼してもなかなか治らないので薬を処方している内科医などと相談して服薬を中断していただくこともあります。
アレルギー性鼻炎
様々なアレルゲンに反応してくしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの症状が季節性、もしくは一年中おこる鼻炎です。抗ヒスタミン薬、ステロイド点鼻薬などの投薬のほか、手術治療で症状をおさえるという選択肢もあります。また舌下免疫療法という治療もあります。
コラムで詳しく説明しています。
副鼻腔炎
副鼻腔炎に一般的な症状として、鼻汁、鼻閉(鼻づまり)、後鼻漏(鼻がのどにおちる)、顔面痛、頭痛などがあります。 そして、好酸球性副鼻腔炎では嗅覚の障害「においがわからない・わかりづらい」という症状を訴える方が多いです。昔からの「蓄膿症(ちくのう)」に対しては抗生剤の内服や鼻洗浄が有効ですが、3か月程度治療しても症状が改善せず、日常生活に支障がある場合には手術治療を検討してみてください。
詳しくはコラムをご覧ください。
鼻中隔弯曲症
鼻の中には鼻中隔という仕切りがあります。この鼻中隔が左右どちらか、もしくはS字状に強く曲がった状態を鼻中隔弯曲症といいます。この鼻中隔の弯曲が、薬が効かない頑固な鼻詰まり(鼻閉)や鼻出血、副鼻腔炎などの原因になることがあります。弯曲の位置、程度などを正確に判断するためには CTが大変重要な検査となります。薬による対症療法の効果が無く重度の鼻閉が続く場合は、手術(鼻中隔矯正術・内視鏡下鼻中隔手術Ⅰ型)によって弯曲した鼻中隔の矯正をすることを勧めます。
コラムで手術の詳細を説明しています。
嗅覚障害
「においがわからない」嗅覚(におい)の障害の約半数は副鼻腔炎によるものといわれています。また、風邪の後におこる嗅覚障害も多く、長期にわたる治療を必要とする方もいます。転倒などの事故で嗅覚がなくなってしまう外傷性嗅覚障害や、年齢の影響で嗅覚が衰えてくる加齢性嗅覚障害といった様々な種類の嗅覚障害があります。まず原因として一番多い副鼻腔炎の有無について診断し、その他の嗅覚検査の結果や、発症したきっかけについての問診など、様々な切り口から原因を考え、治療の道筋を立てていく必要があります。当院ではT&Tオルファクトメトリーという基準嗅力検査を行うことができる専用嗅覚検査室を設けていますので、通常の外来診療時間内のいつでも嗅覚検査を行うことができます。
コラムで詳しく説明いたします。
睡眠時無呼吸症候群
いびきが大きい、日中とても眠い、起きた時の頭痛やだるさが気になる、寝ている時に呼吸が止まっていると家族に心配されている、このような症状がある時は睡眠時無呼吸症候群を疑います。いろいろなタイプの睡眠時無呼吸がありますが、そのうち空気の通り道(気道)が閉塞傾向にあるタイプの無呼吸が最も多いです。当院ではまず鼻やのどの構造に閉塞を悪化させる要因がないか、などを診察で確認します。鼻腔通気度検査で鼻の通り方をチェックすることも可能です。そして自宅での睡眠中のデータをもとに解析する簡易PSG(ポリソムノグラフィー)検査を行います。睡眠時無呼吸症候群が疑わしいという結果が出た場合には1泊2日での詳しい検査のために近隣の病院を紹介いたします。
睡眠時無呼吸症候群の中等~重症の方はCPAP(持続陽圧呼吸療法)という治療が一般的です。毎日の睡眠時に専用の鼻マスクを通して空気に圧をかけて送りこみ、無呼吸を是正するものです。当院ではCPAPの管理、そして鼻づまりが強くCPAPが続けられない方には鼻の中の状態に応じて手術などの追加治療を行うことが可能です。
扁桃炎
口をあけて両脇に見える扁桃(へんとう)が腫れると、のどが痛くなり、飲み込みづらくなることもあります。
腫れが強くなったり周囲に炎症が波及したりすると(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍)、抗生剤の点滴や、扁桃周囲の切開、排膿が必要になることもありますので、痛みと腫れが強くなってきた場合には耳鼻咽喉科への受診を早めにすることをすすめます。
近くに耳鼻咽喉科が無い場合などは内科でまず診察してもらうことも検討してください。口が開けづらくなってきた場合は扁桃の周囲に炎症が及んできているサインですので要注意です。できるだけ早く医療機関を受診することをすすめます。
声帯ポリープ
「声がガラガラになってきた」「よく歌を歌う」「声を張り上げて話す機会が多い」こういった場合には声帯にポリープが無いかを喉頭ファイバースコープ検査で調べます。声帯結節という「声帯のタコ」ができている人もいます。
声の出し方に気をつけて(声の安静)ポリープが縮小したり症状が改善したりすれば良いですが、ポリープの形状・タイプによっては手術を受けたほうが良いこともあります。声帯結節はまず声の安静で症状を改善させられるか様子をみることが大切です。
声帯麻痺
声がかすれる、力を入れないと声がでない、などの症状がある方は喉頭ファイバースコープ検査にて声帯の動きが麻痺していないかを調べます。
麻痺の種類に応じて専門外来のある病院などを紹介いたします。
胃酸逆流症
胃酸の逆流が咽頭(のど)の粘膜を荒らすことによって、「何かがつかえているような感じ」「のみこむときの違和感」などを生じることがあります。
ファイバースコープ検査でのどと食道の境目が腫脹していないかなどを検査します。胃酸の咽喉頭への逆流が疑わしい場合は胃酸分泌抑制薬などの処方をして経過をみることになります。